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拒否のある認知症患者さまへの関わりかた

vol.7 看護部 西村紡 Miho Yuasa

西村紡


私は就職1年目から、患者さまからクレームや拒否の言葉を言われるとショックを受け、次からその患者さまと関わる際、極度に緊張してしまうことがありました。
そのため、患者さまに対する恨み、嫌悪「自分はあんな人間になるものか」と陰性感情があり、患者さまのためにケア・看護をしていくことについて疑問が常に頭の中にある状態でした。
そんな中で出会った患者さまについてお話をさせていただきます。

認知症患者さま(以下A氏)であり、本来の性格(好き嫌いが激しい)もあり、ケア特に苦痛の伴う処置について拒否の強い方でした。腹膜透析をされており、排液をスムーズにするため、毎日導尿を実施していました。
導尿はカテーテル挿入時に疼痛を伴うのでA氏の苦痛も大きいものでした。導尿実施前にじっとしていただければ早く終わることを説明しても導尿へカテーテルを挿入すると看護師に対し「痛いじゃないの!!」と怒り叩くことがありました。
そんな中1人が両腕を押さえ、もう1人がカテーテルを尿道に挿入し実施していました。A氏は導尿実施後も怒りが治まらず顔を見に行くだけで「何よ!!」と敵意の混じった顔で睨みつけていた。

上記のことからA氏は自分にとって嫌なことに対し拒否が強く、ケアの受容が困難な状況にあると考えました。A氏のためとはいえ処置を毎日実施していき、そのたびに拒否の言葉をもらうのはやはり辛いものがありました。苦痛のある処置をできればやりたくないというのが私のそのときの本心でした。そして、「私のせいではないのに拒否の言葉を言われてもどうもできない」という思いも持っていました。
また、看護師は痛い処置はしてもじっくりと話をすることが少なかったため、なおさらA氏からの不満や不信感が強かったのだと思いました。どうすればA氏の不満を和らげられるかを考えると、以下のことがあげられました。①必要とはいえ、毎日苦痛を伴う導尿を受けなければならないこと②自分は苦痛を受けているのに実施している看護師は話も聞いてくれない。すなわち自分の苦痛を受け止めようともしてくれない。この2点から拒否の言葉を言われても仕方ないかと考えられるようになりました。

そこで私は訪室時にできるだけ自分から声をかけ、A氏の訴え(苦痛)を傾聴していきました。拒否があるときは特に声を静かに、相手と目線を合わせ、導尿など苦痛が強い処置の後は謝罪と労いの言葉(処置後は腹痛を訴えた時にお腹をさする)をかけるようにしていきました。2週間程仕事の間訪室でできるときは訪れ、他の看護師の受け持ち時はケアに入ることで、コミュニケーションをとれるようにしました。すると、段々と穏やかな表情をするようになり、顔を見に行くと手を振り返してくれるようになりました。ある日導尿について予め痛い事と、じっとしていただければ早く終わることを説明しました。尿道にカテーテルを挿入すると「痛いよ!!」と叫びはするものの、看護師を叩いたり暴言を吐くことはありませんでした。

終了後、私が「お疲れ様です、痛い思いをさせてごめんなさい」と謝罪すると、A氏から「ご苦労様、ありがとね」と声をかけていただくことができました。私は当初A氏が高齢者であること、性格、認知症としてのケアの拒否としか考えることができていませんでした。そんな中、その時点に終わるのではなく声かけを実施していくことでA氏からお礼を言われることができたのは、とてもうれしく思いました。
就職してから2年目となり患者さまとの接し方について慣れてきたものの、また経験・勉強不足が感じられることがたくさんあります。今回の経験は拒否を言う患者さまに対してもショックを受け、何も実施せずに終わること無く「どうすればよいか?」と考えることができたことが私の成長につながったと思います。

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